2020年度春学期 新入生のみなさんへ(入学式に代えて)
2020.04.01
2020年4月1日□
学長 石川昭仁
長崎外国語大学に入学された皆さん、おめでとうございます。
2020年度春の1年次入学者は、205名、3年次編入学が3名です。全教職員を代表して心から歓迎の意を表します。
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、入学式を執り行えなくなり、長崎外国語大学での希望あふれる出発に際し、皆さんに直接お祝いの言葉を言えないことは、私たち教職員にとりましても、本当に辛く苦しい思いです。また、学生諸君を今日まで見守り、助けて来られた保護者の方々には、入学式をどれほどか楽しみにしておられたことかと存じます。心よりお祝いとお慶びを申し上げます。また、大学としての苦渋の決断にご理解を賜り、深く感謝申し上げます。
さて、今世界中が苦しんでいる新型コロナウイルス感染症を誰が予想したでしょうか。現代は国際環境の激しい変化、グローバル化、高度情報化などにより、将来の見通しが立てにくい不確実性の時代と言われています。国内では少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題も山積しています。そこで、来るべき社会では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出し、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供される。またロボットや自動走行車などの技術で、これらの課題や困難を克服する。このようなビジョンが提示されています。この来るべき社会の担い手は、まさに皆さんであり、その皆さんに社会は大きな期待をかけているのです。
皆さんはこの時代の変化にどのように向き合うべきなのでしょうか。人生100年時代と言われますが、変化に対応し、新たな価値を生み出すための学びは、これからのおよそ80年の人生を通して続きます。その中でわずか4年間にすぎない大学生活は、学びの出発点です。入学に際して、この貴重な4年間を長い人生のなかにどのように位置づけ、どのように向き合うのかをしっかりと考えていただきたいと思います。
長崎外大で学ぶ4年間は、生涯を通して学び続けるための土台を作る期間であり、皆さんが社会の中で活躍する場を見出すための準備期間と言えます。何を、どのように学ぶのか。学ぶべきことを自ら見出し、学ぶ方法やスキルを身につける時期です。
長崎外国語大学は、多言語グローバル人材の育成を目指しています。「主体的に物事を考え、言語、文化、価値観の異なる人びとに自分の考えを効果的に伝え、その差異を乗り越えてお互いを理解し、新しい価値を生み出すために一致協力して行動に踏み出すことができる人材」の育成です。そのためには、大学の授業で培われる豊かな教養と深い専門性に加えて、経験や体験を通した学びも重要です。世界各国の留学生と共に学び、生活する経験や世界各国への留学の機会をぜひ大事にしてください。
変化に向き合う術は、もう一つあります。変化しないものをしっかり掴むことです。長崎学院?長崎外国語大学の教育の基盤は、キリスト教の「真理と自由の探求」、「隣人愛」、「献身と奉仕の精神」という普遍的な価値観にこそ置かれるべきである、と建学の精神は述べています。
今日からの4年間の学びを通して教養、専門性、経験?体験と共にその土台となるキリスト教精神を通じて豊かな人間性を培っていただくことを期待します。